COCOブログ

2022.07.28更新

市販のマウスピースの特長

市販のマウスピースの特長

インターネットやドラックストアで購入できる市販のマウスピース。

一般の矯正治療をしようと思うと、費用は80万~100万とかなり高額な治療費がかかってしまいますが市販のマウスピースは3000円前後で購入することができます。

歯科医院でマウスピースを作るためには歯型を取る必要があります。しかしインターネットなでマウスピースが購入できることは手軽に始めることができる点でいえばメリットといえるでしょう。

市販のマウスピースに効果はあるのか?
市販のマウスピースで必ずしも歯並びがよくなるとは限りません。

歯科医院で個人の歯型を採っているわけではないので使用していると、歯が痛くなってしまったり口腔内に合っていないマウスピースを使い続けることによって、歯並び、かみ合わせが悪くなってしまったりすることがあります。

本来、市販のマウスピースはいびきなどで舌が沈下してしまうことを防ぎ、くいしばり歯ぎしりなどで歯の摩耗を防ぐために使用されることが多いものです。

多くの場合、装置自体が柔らかすぎるためマウスピースが変形してしまい、歯に適切な力をかけ続けることはできません。

そのため、歯列を改善することや出っ歯を改善することは市販のマウスピースでは効果が期待できません。

出っ歯には歯科医院のマウスピースがよい理由
専門的な検査が受けられる
歯科医院でマウスピース矯正をする場合は、お口の中の検査をします。
レントゲン・歯型(歯列模型)・口腔内写真・むし歯・歯周病の検査・診断をします。
事前にしっかりとした検査をすることによってスムーズな治療を行うことができ、むし歯や歯周病などの治療が必要であれば、矯正治療よりも優先していきます。矯正治療はむし歯や歯周病がないことが前提で行われるからです。
ゴールを見据えた治療計画が立てられる
事前の検査でとった資料をもとに矯正治療を行うにあたって、どのように歯を移動させていくかをシミュレーションします。
これは、計画を立てる上では重要なポイントでもありますが、実際治療を受ける患者さんにとっても治療後のイメージを持ちやすいと思います。
そして、術前に抜歯が必要か、非抜歯での治療が可能かを確認もできます。
シミュレーションで術後の状態も確認できるので、しっかり治療計画が立てられ安心して治療を受けていただくことができます。
自分だけにカスタマイズされたマウスピースで適切に歯を誘導できる
市販で購入できるマウスピースはすでに形ができており、使用時にお湯でマウスピースを軟化させ十分柔らかくなった状態で歯列に装着します。そのため歯列を改善するような動きをすることは見込めません。
歯科医院でマウスピース矯正をする場合は、個人の口腔内を型採りし、マウスピースをオーダーメイドで作製します。
ご自身の歯にぴったりと合うため、隙間がなく虫歯・歯周病のリスクを軽減でき矯正での歯列改善をすることができます。
治療中のフォローが受けられる
市販のマウスピースは型採りをして作製したものではないため口腔内にピッタリとて適合していません。そのため過度な力がかかってしまったりして歯をダメにしてしまう可能性もあります。
歯科医院でのマウスピース矯正をする場合は定期的にチェックを行っていきます。
そのため、治療中のトラブル、虫歯・歯周病・装着時の痛みや装置の破損などにも対応することができます。
市販のマウスピースでは自己判断になってしまうため、症状などの変化に気づきにくく対応が遅れてしまう可能性があります。
アタッチメントを使って確実に歯を移動できる
市販のマウスピースは型採りをして作製したマウスピースではないため、適合性が悪く、マウスピース自体柔らかすぎてしまうため、歯に力がかかりにくく歯を移動させ歯並びの改善をすることはできません。
マウスピース矯正ではアタッチメントを装着します。
アタッチメントとは、歯の表面に樹脂の突起物を装着します。歯の表面に装着するので舌があったることもなく、アタッチメントも目立たないため気になることはありません。このアタッチメントがあることにより歯にかかる力を調整し確実に歯を移動させることができます。

投稿者: COCO DENTAL CLINIC

2022.07.20更新

インビザラインでの矯正治療は、歯が理想的な位置に移動し終えたら治療終了ではありません。矯正治療後は必ず後戻りのリスクがあるため、保定が必要になります。
様々な保定装置がありますが、インビザラインには専用のビベラリテーナーというものが存在します。

矯正治療後の歯の後戻りはなぜ起こるか

矯正治療後の歯の後戻りはなぜ起こるか

後戻りとは、インビザラインでの矯正治療終了後に治療前の不正な咬合状態に向かうことです。後戻りの要因としては以下のものがあります。
軟組織
歯の位置や歯列の状態は、口腔周囲筋の力の均衡によって保たれています。インビザラインでの矯正治療による歯の移動は、軟組織の均衡を変化させることになり、後戻りの原因となります。
咬合
インビザラインによる矯正治療によって適正な咬合関係が得られない場合、咬合力が歯を不正な位置に移動させる力として作用することがあります。
顎顔面と咬合の成長
インビザラインでの矯正治療後に顎顔面が成長した場合、歯列は成長を補償するように変化し、歯並びが乱れることがあります。
支持組織
インビザラインでの矯正治療によって動いた歯には、歯槽骨の吸収、添加、歯根膜、歯肉繊維の変化が伴います。
これらの支持組織は、歯が動いた位置で固定されるには長時間を要し、固定される前に矯正力から解き放たれると、固定される前の位置に戻ろうとする力が働き、後戻りの要因となります。

保定とは
保定とは矯正治療によって目的の位置に移動させた歯を、目的の位置で保持し安定化させることです。矯正治療終了後、理想的な位置に歯を動かせたとしても、先に述べた理由で後戻りの可能性があります。
保定するために使う装置を保定装置やリテーナーといい、インビザラインにおいては専用のビベラリテーナーがあります。
リテーナーは歯を動かす矯正治療とは異なり、装着していてもほとんど痛みを感じません。
インビザラインでの矯正治療終了後の最初の1年間くらいは後戻りしやすいため、セルフケアやお食事の時以外はリテーナーを装着した方が良いです。支持組織や移動後の咬合関係の固定が完成したら、リテーナーの装着時間を徐々に減らしていきます。
リテーナーはとても薄いため、落下、歯ぎしり、食いしばり等で破損することがあります。軽度の破損はそのまま使用しても問題はありませんが、中程度から重度の破損に関しては基本的には再作製となります。

ビベラリテーナーとは

ビベラリテーナーとは

ビベラリテーナーはインビザライン専用のリテーナーで、矯正治療終了後の歯列に対して印象(型取り)をして作成する方法と、インビザラインと同じくクリンチェックのデータから作製する方法があります。
ビベラリテーナーの上顎用には「U」の文字が、下顎には「L」の文字が印字されていて、患者識別番号も記載されています。
ビベラリテーナーは上顎用からでも、下顎用からでもどちらから装着しても問題ありません。
インビザラインの矯正用のマウスピースと同じく、可綴式(取り外し可能)で、目立ちにくく、透明なマウスピースタイプのものです。ただし、ビベラリテーナーを装着する際に、咬んで装着しようとすると無理な力がかかり、ビベラリテーナーの破損につながるため注意が必要です。装着するときは手指で優しく左右均等に力がかかるように装着します。
ビベラリテーナーを取り外した後は水洗いで洗浄し、必要であれば歯ブラシで軽くこすります。余分な水気を除去し、使用しないのであればすぐにケースに保管します。お湯で洗うと変形するため必ず水で洗浄します。
ビベラリテーナーは1回に3セットのリテーナーが提供され、3か月ごとに新しいビベラリテーナーに交換していきます。
価格は医院によって異なりますが、3セットで数万円が相場です。舌側線をはじめとする、他の保定装置とも併用可能です。また、ホームホワイトニング用のマウスピースや歯ぎしり用のマウスピース、フッ素塗布のカスタムトレーとしても使用することができます。

ビベラリテーナーと他のリテーナーとの違い
舌側線のワイヤー固定だと保定効果は高いですが、舌側線が第一小臼歯までの固定になってしまうため、大臼歯の保持が不完全で後戻りの可能性があります。また、デンタルフロスを通すことが難しいです。
対してビベラリテーナーは大臼歯まで保定でき、可綴式で清掃性も良いです。また唇側線が付与されたプレートタイプのリテーナーも保定効果は高いですが、唇側線が変形すると保定効果が低下します。
唇側線の変形が患者さん自身で認識することが難しいため、破損や損傷の度合いが目で見てわかるビベラリテーナーの方が優れているといえます。
ビベラリテーナー自体の欠点としては可綴式のため、装着していないと保定効果が発揮されないため、効果が患者さんに委ねられてしまうということです。

投稿者: COCO DENTAL CLINIC

2022.07.14更新

インビザラインで歯が動く仕組み

インビザラインで歯が動く仕組み

インビザラインで歯が動く仕組みは、通常のワイヤー矯正と原理は同じですが、力のかけ方が少し異なります。
インビザラインの矯正システムでは、口腔内の歯列のデーターを専用のソフトで分析及び解析し、理想の歯列をゴールとして設定します。
現状の歯列から理想の歯列に向かって、マウスピースを数個から数十個製作し、1週間から2週間程度でどんどん新しいマウスピースに交換していきます。各々のマウスピースには現状の歯列より少し理想の歯列に近い形になっており、その差によって歯に力がかかります。
インビザラインはSmartTrack素材という特殊な強化プラスチックを使用しています。持続的に弱い力をかけて歯を移動させることが可能です。また歯の形状やアタッチメントとマウスピースとの間を密着させるため、歯の移動量の調整がしやすいです。これにより、従来のワイヤー矯正でみられた歯根吸収のリスクがほとんどありません。

インビザラインの補助装置で歯が動く仕組み
インビザラインでは、歯を効率的に動かすために、補助装置を用いることがあります。
アタッチメント
アタッチメントとは、インビザライン治療中に歯面に付与される歯と同色の突起物です。
材質はコンポジットレジンでできており、役割は歯軸や角度を調整して、理想的な歯列への移動を補助します。
アタッチメントは、テンプレートという無色透明な装置を使用して歯面に付与します。このテンプレートによって付与されたアタッチメントの形と、マウスピース内面のアタッチメントに対応する部分の形が少し異なるため、これにより矯正力がかかります。
顎間ゴム
インビザラインでの治療中に、補助的に力をかけるために、上の歯と下の歯にゴムをかけることがあります。これにより、出っ歯や受け口、左右の横ずれを改善させます。
すなわちゴムの弾性力を利用し、歯を目的の位置に移動させ、しっかりとした咬合を確立させます。
Ⅱ級ゴム
主に上顎前突(出っ歯)の症例に使用します。
上顎の犬歯と下顎の第一大臼歯にゴムをかけ、上顎が後方へ、下顎は前方へ引っ張られます。
Ⅲ級ゴム
主に反対咬合(受け口)の症例に使用します。下顎の犬歯と上顎の第一大臼歯にゴムをかけ、上顎が前方へ、下顎が後方へ引っ張られます。
クロスゴム
クロスバイトやシザーズバイトといった、歯列が左右にずれている症例に使用します。
上顎と下顎の同じ歯の頬側、舌側または口蓋側にゴムをかけることによって矯正力がかかります。
垂直ゴム
上顎と下顎の歯が接触していない、開咬の症例に使用されます。
上顎と下顎の同じ歯の頬側にゴムをかけ、上下の歯を互いに垂直的に引っ張ることで矯正力をかけます。

投稿者: COCO DENTAL CLINIC

2022.06.30更新

マウスピースの取り外しの方法についてです。
マウスピース矯正・インビザラインを始めると、日課になるのが「マウスピースの着け外し」です。このマウスピースの着け外しにはちょっとしたコツがいります。
マウスピースは歯を包み込む弾力性のある素材でできています。そして変形しやすいのも特徴です。
1日に数回着けて、外してを繰り返しますので、毎回無茶な力で行うと変形してしまったり、亀裂が入ってしまうことがあります・
ですので、マウスピースを一定期間綺麗に正しく使うためには、着け外しが重要になってきます。

マウスピースを入れる時は“前から”

マウスピースを入れる時は“前から”

まずは真ん中の歯の中心とマウスピースの中心を合わせます。そして前歯から奥歯にかけて指で押しながら入れます

投稿者: COCO DENTAL CLINIC

2022.06.16更新

クリンチェックとは
クリンチェックは、インビザラインでの矯正治療の際に用いるソフトウェアのことです。
他のマウスピース矯正でも似たものはありますが、クリンチェックはインビザライン独自のもので、アライン社の持つ理論やこれまでの治療実績をもとにプログラムが作られています。

どんなときに使う?インビザライン治療の流れ

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クリンチェックはインビザライン治療のどこで使うのでしょうか?
治療の流れを追って説明します。
インビザライン治療の流れは以下のようになります。
カウンセリング
精密検査(レントゲン、口腔内スキャンなど)
3Dモデル作成 、治療計画立案(★)
シミュレーション、治療計画の調整(★)
アライナーの発注、作成
アライナー装着、治療開始
定期チェック
治療計画の修正or変更(★)
治療終了、保定
追加アライナーの作成(★)


上の流れのうち、(★)印がついているところでクリンチェックを使用します。
インビザラインでは、歯型または口の中を直接3Dスキャナでスキャンし、歯の3Dモデルを作成します。
この3Dモデルを用いて最終的な仕上がりや、そのために必要な処置(アタッチメント、抜歯、ディスキングなど)を検討します。
そうして作った治療計画を基に治療のシミュレーションを行い、患者さんと治療のイメージを共有し、仕上がりへの要望があれば治療計画に反映させます。
この治療計画を立て、シミュレーションを行うのにクリンチェックを使います。
また、治療計画を修正、変更したり、治療終了後にさらにもう少し動かしたいというときに追加のアライナーを作るときにも使います。

クリンチェックでどんなことができるの?
クリンチェックでできることを、もう少し詳しく見ていきましょう。

歯の移動のシミュレーション
従来のワイヤー矯正や床矯正では専門家が人の手で治療計画を立てるため、治療開始前に最終的な仕上がりの模型(セットアップモデル)を作ることはできても、そこに至るまでの歯の移動のシミュレーションを行うことはできませんでした。
インビザラインでは、コンピューター上で3Dモデルを用いて治療計画を立てるため、治療期間中の全ての歯の移動予測のデータが存在します。
そのため、歯の移動予測のデータを繋げることで、治療期間中の歯の移動を動画として見ることができます。

患者と術者とのイメージの共有
これまでもセットアップモデルで最終的なイメージを持つことはできましたが、セットアップモデルは石膏とワックスでてきており、途中の経過がわからないため患者にとってはわかりやすいとは言い難いものでした。
また、治療の途中で歯がどのように動いていくかのイメージは術者の中にしかないため、患者には治療途中のイメージは困難でした。
クリンチェックでは、途中経過を含めて動画として治療のシミュレーションができるため、術者と患者とで治療の経過について同じイメージを共有できます。

治療計画の立案

立案
治療のシミュレーションやイメージの共有はクリンチェックの特徴ですが、これらはクリンチェックによって治療計画が立てられているからこそできることです。
アライン・テクノロジー社が、これまでの何百万という治療実績をもとに作り上げたプログラムにより治療計画が立てられます。
歯を並べるために抜歯が必要か、ディスキングで対応できそうか、アタッチメントはどこにどのくらい、どんな形のものが必要か、ゴムかけは必要かなど、様々なことを考慮して治療計画は立てられることになります。

治療計画の修正、変更、追加
矯正医が立てた治療計画をもとに、治療開始前(アライナーの作成前)であれば、もっとこの歯を引っ込めたいなどの要望を当初の治療計画に組み込んで修正し、アライナーの発注を行えます。
また、予想していた歯の動きとは異なる動きが見られた、治療中に虫歯ができてアライナーが使えなくなってしまったという場合には、治療計画の変更が必要になります。この場合は再度スキャンし、クリンチェックで新しい治療計画を立てることになります。
動的治療が一通り終わった後、もう少しここを治したいという希望が出ることがあります。
その場合も再度スキャンし、クリンチェックで追加アライナーの計画を立てます。

クリンチェックは進化する
クリンチェックはこれまでの治療実績をもとに作られており、アップデートが行われています。
理論だけでなく、他のシステムと比べて膨大な実績をもとにすることで、より現実に近いシミュレーションが可能になっています。
それだけでなく、オプションにより歯根のモデルを構築することもでき、より歯の動きをシミュレートしやすくできるなど、よりよい治療のための改良が行われています。

投稿者: COCO DENTAL CLINIC

2022.06.09更新

インビザライン・ライトとインビザライン・Goの比較

部分矯正の場合、インビザラインの製品のなかではインビザライン・GOとインビザライン・ライトというマウスピースの枚数や作り直しの回数に制限のある製品を使用することになります。
※当院では主にインビザライン・GOを使用しております。

どちらの製品もインビザラインで利用できる機能はすべて組み込まれておりますので、どちらが優れているという訳ではなく、患者さんの治療計画に対して、どちらの製品がより適しているかという基準で選択することになります。

インビザライン・ライトの特長
最大14枚のアライナー数なので1週間交換で3~4カ月、10日ごとの交換で4~5カ月程度の治療となります。最大枚数はインビザライン・Goよりも少ないですが、移動可能な歯に制限がないため、奥歯の移動も可能です。

歯並び全体を少し広げて(拡大)して歯並びのガタガタを改善したい場合や奥歯の位置に問題がある場合などにはこちらの製品の方が適しているといえます。


インビザライン・Goの特長
最大20枚のアライナー数なので1週間交換で5カ月程度、10日ごとの交換で6~7カ月程度の治療となります。最大枚数はインビザライン・ライトよりも多いですが、移動可能な歯に制限があり、奥歯の移動はできません。

奥歯のかみ合わせが変化しませんので、歯並びのガタガタを整えるために必要なスペースは、歯並びを広げる(拡大)よりもIPRによって確保することが多くなりますので、かぶせ物や詰め物が多い方や歯ぐきの隙間の大きい方などでは、

インビザライン・Goが望ましいかもしれません。奥歯が移動しないということは奥歯を支え(固定源)にして他の歯を移動させることができるという点もインビザライン・Goの大きな特長です。

投稿者: COCO DENTAL CLINIC

2022.05.30更新

歯並びによっては部分矯正治療の範囲を超えている場合があります。ここでは、よくある「簡単そうで、思ったより事態は深刻な3つの歯並びを解説していきたいと思います。下の3つのパターンに当てはまらない方は部分矯正治療で大きな効果を得る事が期待できます。

上の歯だけ矯正して前歯を引っ込めたい

上の歯だけ矯正して前歯を引っ込めたい
これは、一番良くある部分矯正の相談内容です。多くの患者さんは上の歯列のみの治療で治ると思っていることが多いです。ですが、せっかく期待して来られた患者さんには酷なのですが、「全体矯正が必要です」と伝えなくはなりません。
前歯を後ろに下げるには、アンカーといって引っ張るための固定源が必要です。主に前歯しか装置を装着しない部分矯正では対応しておりません。特に「出っ歯」の方に上の前歯が出ているから、上のみの装置を装着して治療したいというパターンもありますが、通常はできません。「出っ歯」は上下の「かみ合わせ」の問題も混在しているからです。かみ合わせに問題があるという事は上下の歯に矯正装置をつけなくてはなりません。ですから、「出っ歯」も治したい場合は上下全体矯正になります。

前歯のスペース不足が3mm以上を超えている
どうしても部分矯正を希望の場合は前歯のデコボコを揃える事は可能ですが、抜歯や遠心移動といったスペース作りができないため、前歯を引っ込める事ができません。出ている方の前歯に合わせて後ろにある歯を揃えるイメージです。
目に見える上の前歯の段差だけを治したい方は多いのですが、段差を取るには歯を並べるスペースが必要です。部分矯正でのスペースの作り方はIPR(ストリッピング)といって、歯にヤスリをかけて隙間をかき集める方法になります。
前歯のIPRを積極的に行って得られるスペースはせいぜい3mmが限界です。それ以上を超えたスペース不足は、歯列拡大や小臼歯抜歯が必要になってくるため上下顎全体矯正になります。

目安としては、前から見て2番目の歯が半分くらい隠れている場合は、スペース不足が3mmを超えている可能性が高いです。このようなケースは、八重歯やクロスバイトといった噛み合わせに問題がある状態になっている事が多く、全体矯正治療が必要になります。特に八重歯の原因となる犬歯は歯根が長く、部分矯正で正しい位置にコントロールする事は難しいと言えます。

噛むと下の前歯が見えない深噛み
あまり聞きなれない悪い歯並びの種類ですが、「過蓋咬合」といって下の前歯が上の前歯の根元を噛んでいる噛み合わせです。これは、部分矯正治療にて上の歯並びを治したとしても、後戻り防止用のフィックスリテーナーを歯の後ろに装着できないため、治療の予後が非常に悪いです。このようなケースも上下顎全体矯正にて前歯のかみ合わせを治す必要があります。

投稿者: COCO DENTAL CLINIC

2022.05.18更新

アンキローシスとは

アンキローシス
この歯が動かない理由は、「アンキローシス」といって、歯根と骨が癒着している可能性も疑ってみても良いかもしれません。
歯根とその下の骨の間には歯根膜と呼ばれる血管の膜が必ずあります。矯正力をかけると、この部分が最初に反応して歯が動き始めます。例えば、チタン合金の人工歯根であるインプラントは、直接骨と生着するため歯根膜はなく、矯正力をかけても動かす事ができません。アンキローシスとはこのインプラントと同じ状態になっているという事です。

アンキローシスの原因
骨性癒着が起こる理由は、何らかの理由で歯根膜を失ってしまう事が主な原因です。外傷や炎症によって起こります。以下にまとめてみます。

脱臼などの外傷
歯並びが出っ歯傾向の方は、一度は上の前歯をぶつけてしまった事があるのではないでしょうか。その際の衝撃で、歯が歯茎から抜けるところまではいかなくても、歯の位置が前後にずれてしまうという事は結構あります。また、歯の位置に変化はなくとも、歯茎方向に陥没の力がかかり歯根部の歯根膜に損傷を受けている事もあります。
歯根の神経血管も切れていなくて一見大丈夫なようにみえても、一部歯根膜を損傷してしまっている場合は、アンキローシスが起こります。

嚢胞(のうほう)などの炎症
歯が骨の中で種の状態の時期や生えている途中に、何らかの炎症が起きる事で、骨内で歯根が癒着してしまう事があります。骨の中に埋伏しやすい上の犬歯に発生する事があります。八重歯の矯正治療で犬歯が動かない時はアンキローシスを起こしている可能性が考えられます。
また、歯根嚢胞と言い虫歯の延長で歯根の先まで感染した場合も、治療とともに膿のふくろである嚢胞は改善しても、歯根部の歯根膜を喪失しアンキローシスが起こる事もあります。

先天的の萌出不全
外傷や炎症もないのに、原因不明に歯が歯茎の一定の高さから生えてこないという事があります。非常にマレな症状ですが、「原発性萌出不全」と言います。奥歯が数歯罹患し、横のかみ合わせが噛み合わない開咬状態になります。
途中までは生えてくるのですが、突然アンキローシス状態になるため、最初は診断ができず、矯正医を悩ませる疾患です。この場合は、一般的な矯正治療は、歯を動かす事ができないため無意味になります。1歯だけというの少なく、数歯が罹患し奥歯が開咬になります。

アンキローシスの診断

アンキローシスの診断
外傷・炎症など上記の内容が疑われる場合、まずはレントゲン検査で、歯根膜の線がしっかり見えるかを確認します。ぼんやりとしか見えない場合は、アンキローシスの可能性が疑われます。
また、触診などで歯を動揺するかを確認するのも有効です。正常な場合は、生理的動揺といって指で歯を動かすと、自分で歯が揺れているのを感じます。これは、食事時に歯根膜がスポンジとセンサーの働きもしているため、わずかな動きでも察知できるようになっているからです。
歯を金属で叩いてみるのも有効で、アンキローシスが起きている場合は、骨に直接振動が響きますので、金属音のような音を感じます。

アンキローシスの矯正歯科治療
部分的にアンキローシスしている場合は、脱臼といって抜歯の要領で一度骨と歯根の癒着を剥がすという方法があります。術後は、そのままだと、また歯根が骨癒着してしまうため、すぐ矯正力をかけなくてはなりません。
歯根が完全にアンキローシスしている場合は、歯を動かす事を諦めなくてはなりません。コルチコトミーといって周囲骨ごとブロックで分離させて正しい位置に修正したり、補綴治療といって被せものや差し歯で対処するという方法になります。

投稿者: COCO DENTAL CLINIC

2022.05.12更新

歯列矯正で歯が動きやすい人の特徴とは?

歯列矯正で歯が動きやすい人の特徴とは?
歯並びは一人ひとり異なるため、歯列矯正にかかる期間もそれぞれです。一般的にブラケットと呼ばれる矯正器具を装着し、歯にワイヤーで一定の力を加えながら行っていきます。このときに「歯が動きやすい人」もいれば「動きにくい人」もでてくるものです。
では、どのような場合に歯が動きやすいのか詳しくみていきましょう。


歯並びの問題が軽度

歯並びの問題が軽度
もともと歯並びの問題が軽度で、歯を動かす度合いが小さければ歯は動きやすく、より短い期間で歯並びを整えられます。

新陳代謝が活発
歯列矯正をする際、歯を動きやすくするために重要となるのが、歯の周辺組織の新陳代謝です。代謝が活発であればあるほど、歯も動きやすくなります。
そのぶん歯列矯正の効果も出やすくなるのです。代謝を良くするためには食生活や睡眠時間等も意識しながら、規則正しい生活を心がけるようにしましょう。

舌や口元に悪い癖がない
舌や口元に悪い癖があると、歯が思うように動きにくいことがあります。とくに前歯を舌で押す癖や頬杖をつく癖がある人は注意が必要です。それらの癖がない人は、余計な負担が掛かることもないので、歯を動かす妨げになりません。そのため、歯列矯正の効果がより出やすいでしょう。

医師の指示をきちんと守れる
歯を動きやすくするために最も重要なことは、「医師の指示をきちんと守ること」です。せっかく歯が整いはじめた場合も、矯正装置の使用時間などを守らなかったり、通院をやめてしまうと再び歯が乱れ始める可能性も高くなります。十分に注意してください。

歯列矯正で歯が動きにくい3つの原因
歯の移動する速度は個人差が大きいものです。しかしなかには「歯が移動しにくい人」そして、まれに「まったく動かない人」がいます。主な原因は以下の3つです。
1.「舌癖(ぜつへき)」がある
2.強い「咬合力(こうごうりょく)」がかかっている
3.歯が「アンキローシス」を起こしている
(1)(2)は通常よりも歯が移動するスピードは遅くなります。(3)の場合は歯が完全に動かないこともあるのです。

舌癖
「舌癖」とは、無意識のうちに舌を歯に押し付けるなど、舌のクセのことです。歯列矯正は、動かしたい方向に向けて力をかけることで歯を引っ張ります。動かしたい向きとは逆の方向に押すような舌癖がある場合、矯正でかける力を打ち消してしまうのです。このため歯がなかなか正しい位置に動きません。
例えば、「空隙歯列(すきっ歯)」「開咬」「上顎前突(出っ歯)」の人は、歯を舌で外側に押してしまう舌癖を持っていることが珍しくありません。そして、この舌癖は、気をつけていても止めるのが難しいものです。

咬合力が強い
「咬合力」とは、噛む力のことです。集中しているときや寝ているときなどに、歯を食いしばるクセのある人がいます。すると歯に強い咬合力がかかるため、矯正でかける力を相殺してしまい、歯が移動しづらくなるのです。
これが当てはまりやすいのは、噛み合わせが深く、噛んだ時に下の前歯がほとんど見えない「過蓋咬合(かがいこうごう)」の人です。

アンキローシス
アンキローシスは歯と骨の間に存在しているはずの歯根膜(しこんまく)がなく、歯の根っこと骨(歯槽骨)が直接、結合している状態をいいます。
歯根膜とは、歯と骨の間にあるクッションのような柔らかい組織で、歯と骨をつないだり、歯の周りの組織に栄養を運んだりしています。なんらかの原因で歯根膜がダメージを受けて損なわれると、歯根膜を介さずに、歯と骨がじかに接する状態になり、そのままくっついてしまうことがあるのです。この状態をアンキローシスといいます。

投稿者: COCO DENTAL CLINIC

2022.04.27更新

インビザライン矯正においてチューイーは重要な役割を担っていますが、「そもそも使ったほうがいいの?」「何分くらい使えばいいの?」など疑問点が多く、使い方に個人差が出やすいものでもあります。
今回はチューイーの使い方や効果について説明します。
チューイーの使用方法で不明点がある方は是非最後までご覧ください。

インビザラインのチューイーとは?
インビザラインのチューイーとは、弾力のあるロール状のチューブのことです。
アライナー装着後、噛んで使います。
最近はフレーバー付きのものもあります。

チューイーの効果
チューイーを噛むことで、アライナーと歯を密着させることができます。
インビザラインはアライナーを交換して歯を動かしていくため、アライナーが歯とフィットしていることが重要です。
少しでも浮いたり隙間があったりすると、歯が計画通りに動かない可能性があります。
 
こうした事態を避けるために必要になるのがチューイーです。
チューイーを噛むことで歯とアライナーの密着度を高め、歯をしっかりと動かせるようになります。
 
チューイーの使用を怠ると、アライナーがうまくはまらなくなり痛みが出やすくなることも。
「チューイーは使わなくても大丈夫!」という噂に惑わされずに、是非正しく使用してください。

チューイーの使い方
チューイーを使う前に、まずはアライナーを前歯から奥歯にかけて両手指で押してしっかり密着させましょう。
その後、前歯からチューイーを噛んでいきます。
この時、上下の前歯で噛み切るようなイメージで押し込みます。
そのまま隣の歯に移動していき、奥歯に向かって噛みこんでいきます。
全体を満遍なく均等に噛むことがポイントです。
特に動かしたい箇所や八重歯などは角度を変えながら他のところよりも念入りに噛んで密着させてください。

チューイーの使用時間目安
チューイーを使用する際、何分くらい噛めばよいのか迷う方は多いでしょう。
チューイーは基本的に装着時に2~3分使用します。
ただし、新しいアライナーに交換して数日間ははまりにくく浮きやすいため、就寝前に20分~30分かけて使用するのが一般的です。
3~4日でアライナーが歯にフィットしてきたら、数分程度で十分です。

チューイーを噛んで痛い場合は?
チューイーが痛くて噛めない場合は、無理に使用せずひとつ前のアライナーを使用してフィット感を確かめてみてください。
「普段のアライナー装着時間が短い」「チューイーがうまく使えていない」などが原因で、アライナーと歯にズレが生じてしまっています。
ひとつ前のアライナーを使用するのか次のアライナーで様子を見るのか、歯科医師に相談し指示を仰ぎましょう。

チューイーの交換時期
チューイーは繰り返し使用できますが、ある程度使ったら交換が必要です。
弾力がなくなったと感じたり、チューイー自体が破れてきたら新しいものに交換しましょう。
使用後は水洗いし、乾燥させてください。
 
チューイーの代替品
チューイーを紛失してしまった、ストックがないといった時は以下の物で代用も可能です。
 
・丸めたティッシュペーパー
・キッチンペーパー
・ティッシュやガーゼを巻いた割りばし
など
 
それぞれある程度の硬さはありますが、チューイーのような弾力性はありません。
あくまで一時的の代用品と考え、なるべく早く新しいチューイーを用意しましょう。

投稿者: COCO DENTAL CLINIC

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