
― 正しく装着するために知っておきたい原因と対処法 ―
インビザラインで使用するアライナー(マウスピース)は、一人ひとりのお口に合わせて精密に設計されています。そのため「まったく入らない」ということは基本的にありません。
しかし、装着の仕方や治療の進み方によっては、アライナーが“浮いて見えるカチッとはまらないといった状態が起こることがあります。
ここでは、アライナーが浮いてしまう代表的な原因と、部位ごとの対処法についてわかりやすく解説します。
■ インビザラインが浮く主な原因
原因1:あえて“ぴったり”には作られていないため
インビザラインのアライナーは、歯を動かす力をかけるために、はじめから少しだけ歯列よりタイトに作られています。
そのため、正しい位置まで押し込んで装着できていないと、「浮いて見える」「カチッとはまらない」という状態が起こります。
※対して歯を動かさない装置(ナイトガードやリテーナー)は歯列と同じ形で作られるため、浮きにくい仕組みです。
原因2:治療経過にズレが生じている
インビザラインは1日20時間以上の装着が前提です。
装着時間が不足したり、アライナーの交換時期がずれると、
「実際の歯の動き」と「計画上の動き」に差が出てしまいます。
その結果、次のアライナーがしっかり入らず、浮いてしまうことがあります。
原因3:アライナーの番号違い
アライナーには1枚ずつ番号がふられています。
順番を誤って次のステージに進めてしまうと、当然はまりません。
装着時に一度「番号の確認」をしてみると安心です。
原因4:アライナーの変形や不具合
熱湯で洗った
高温の場所に置いた
誤って踏んでしまった
など、外力によってアライナーが変形すると、途中から「突然入らない」ことがあります。
前後の番号と比べてみて、形が違う場合は変形の可能性が高いです。
原因5:アライナーチューイーの使用不足
アライナーをしっかり奥まで押し込むための補助具が「アライナーチューイー」です。
これを使用していない、または噛む時間が短いと、アライナーがしっかりはまらず浮きの原因になります。
■ 部位別:インビザラインが浮くときに考えられる原因
【前歯部分が浮くとき】
前歯のアライナー浮きは、アタッチメントを追加することで改善できるケースが多いです。
実際に“浮いている”のか、“感覚的に浮いているように感じる”だけなのかによって対応が異なるため、まずは担当医へご相談ください。
【奥歯(臼歯部)が浮くとき】
奥歯のアライナーが浮く場合は、治療経過のズレやアライナーの不具合が疑われます。
そのまま使い続けると治療計画に影響が出る可能性があるため、早めに受診がおすすめです。
【1本だけ浮くとき】
特に前から2番目・3番目の歯で起こりやすい現象です。
該当する歯だけ動きが追いついていない、あるいはアライナーとの適合に差が出ている可能性があります。
【歯の根元が浮く感じがするとき】
根元部分までアライナーが入り込んでいない場合は、
・装着時間
・アライナーチューイーの使用
・アライナーの変形
などの基本要因が関係していることが多いです。
【一部だけ浮くように感じるとき】
「実際に浮いている」ケースもありますが、
・装着時間不足
・交換タイミングの乱れ
・マウスピースの変形
・チューイー不足
などの複合要因で“そう感じるだけ”ということもあります。
まずは原因を特定するため、担当医にチェックしてもらうのが確実です。
■ 浮きが出たら自己判断せず、まずはご相談ください
アライナーの浮きは、放置すると治療計画そのものに影響が出ることがあります。
「少しおかしいな」と思った段階で、早めに受診いただくことをおすすめします。
当院では、
・アライナーの適合チェック
・チューイーの使い方指導
・交換スケジュールの調整
・必要に応じた再スキャン
など、患者さまの治療がスムーズに進むようサポートしています。
ご不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。











